活用施設のご紹介
CASE.2 | 社会医療法人かりゆし会 ハートライフ病院様 |
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ご担当医師 | 三戸 正人先生(救急総合診療部 副部長、循環器内科医長) |
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導入時期 | 2015年4月 |
活用モデル | |
連携組織 |
ご担当の先生より
クラウド型12誘導心電図伝送システムでは、救急隊員が現場で患者さんと接触した際にとった心電図をクラウドサーバにアップロードすると同時に病院に連絡することで、インターネット環境さえあれば循環器内科の専門医が鮮明な心電図を閲覧し、緊急カテーテル治療(PCI)が必要と判断した場合には治療に必要なチームを招集、根本治療のための準備をすすめることができるようになりました。
「病院についてから心電図をとるから…」と思われるかもしれませんが、不整脈や非典型的な(非ST上昇型)心筋梗塞では病院前の心電図のみで異常が検出される頻度が15%あると言われており、今後ますます病院前、救急隊との連携が重要となってくるものと思われます。
さらに循環器疾患だけでなく救急領域でも、事故現場やけがの状況などを静止画や動画で伝送することで、緊急対応が必要なスタッフや手術室の確保など、外傷や事故にあった患者さんの治療においても非常に有効なことを実感しています。
まだ導入後1年ではありますが、心電図は115症例、画像は65症例が当院へ伝送され、実際にこのシステムを用いて搬送された急性心筋梗塞患者さんの場合、心電図伝送がされなかった患者さんに比べて、来院後に根本治療であるカテーテル治療(PCI)までの時間を20分も短縮できるようになりました。
この成果は学会や商業誌でも報告され、当院と近隣消防の取り組みや運用の実際をみるために、県外の大病院から見学に来られることから、本システム導入の効果と反響の大きさを実感しています。
しかし、ハートライフ病院の近隣に生活する地域のみなさんの命を守るためには病院で待っているだけではなく、もっと早く医療を開始し、根本治療までの時間をさらに短くしたいと考えた時に、倒れてしまった場所や事故現場はもちろん、救急病院への搬送が必要だと診断していただいた連携診療所まで、医師・看護師を派遣し初期治療を開始できる救急室(Mobile ER)としての機能を持ったドクターカーがどうしても必要だと気づくことになりました。
このドクターカーには、県内初のDMAT指揮車としても機能できるようインターネット環境も整え、心電図や画像、現場の状況を病院へ伝送、病院からも救急車内の患者さんの情報をリアルタイムで把握できる最新のシステムを搭載しております。
2017年1月から始まるドクターカーの本格運用でも、クラウド型12誘導心電図・画像伝送を活用していく予定です。
病院の紹介
- ○病床数
- 300床
- ○常勤医師数
- 75名(当直 3名、内科・外科・ICU)
- ○救急受診患者数
- 14,765人/成人患者数 12,995人
- ○救急搬送
- 2,451件(2014年4月~2015年3月)
- ○年間心筋梗塞患者数
- 36.5件/内救急搬送 48%/年間PCI件数 158件(循環器オンコール体制)
- ○二次救急指定医療機関
○DMAT指定医療機関
(病院ホームページ)https://www.heartlife.or.jp/hospital/
研究会/学術発表等の情報
- ○沖縄12誘導心電図伝送研究会(2016.4.5)/豊見城中央病院
- “心電図伝送が加速させる救命の連鎖”
- ○第19回 日本臨床救急医学会総会(2016.5.14)/福島
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- “中規模循環器内科にこそモバイル心電図伝送システムは有効である。”
- “モバイルクラウド心電図伝送システムの活用について”
- ○第120回 日本循環器学会九州地方会(2016.6.25)/大分
- “クラウド型12誘導心電図伝送システムが加速させる急性冠症候群治療”
- ○第44回 日本救急医学会総会(2016.11.17-19)/東京
- “クラウド型心電図・画像伝送システムが進化させる救急治療”
- ○第3回 12誘導心電図伝送を考える会(2016.1.16)/東京
- “モバイルクラウド心電図伝送システムを利用、早期冠血行再建を行い救命した重症心不全の一例”
雑誌
- ○月刊新医療5月号
- 「クラウド型12誘導心電図・画像伝送システム」導入がもたらす救急医療の進化
- ○ハートライフ病院広報誌『あすなろ(2016年夏号)もっと助ける救急部 特集記事』